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第109回『まちむら興し塾』 |
2014年7月24日 東洋大学 4号館2階会議室 |
テーマ 『就職したくなるリゾート・ホテル旅館』
リゾートホテル・旅館の概要
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コメンテーター
NPO法人ふれあいまちむら興し塾 専務理事 長坂克巳 |
【就職したくなるリゾート旅館・ホテル推進協議会】検討会資料
リゾートホテル・旅館の現状と課題 |
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【リゾートホテル旅館の概要】 |
あなたが継なぐ!日本の伝統文化「旅館」 |
■ テーマ設定の流れ |
108回の『まちむら興し塾』の時、勉強会の内容を変更す
ることになり、今までコメンテーターの発表後に行っていた、
近況報告は取りやめ、NPOの実質収入に結びつく事業を模索
する検討会をすることになりました。
その第一番目の検討テーマとして、6月より新たに参加され
た旅行新聞社の石井社長からのお話をきっかけに、リゾートホ
テル・旅館の低迷の一因になっているに人材確保に焦点を当て
「学生が就職したくなるリゾート・旅館運営」
を取り上げることになりました。
そのテーマに取り組むため今月は、予備知識講座として、
「リゾートホテル・旅館の実情と問題点」の説明と解説です。
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T 現状を見直し・追求するべき課題 |
1.経営ポリシイ |
(1)感動を誘う(いざなう)接客
サービスの基本4S
⇒ Smile・Speed・Sincerity・Safety
(2)社員待遇の見直し
⇒ 給与体系・休暇・福利厚生・労務体制
(3)社会へ貢献
⇒ 利益の還元
(4)安心・安全の徹底
1)衛生管理
食中毒・レジオレナ菌・汚れ
3)火災・災害対処
4)コンプライアンスの対応
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2.経費・原価管理 |
1)人件費35%
@ 正社員・嘱託・パート・アルバイト比率
A IT化の限界
2)食料原価30〜35%
@ 料理原価管理の徹底
調理スタッフ自社で育てる
A 管理のチェック体制
流動費の管理が1ヶ月単位では遅い
3)販売促進費
@ 販売要員人件費・営業所維持運営費
A 広告宣伝費
パンフレット・案内チラシ・媒体費
B インターネットの活用
C 旅行代理店手数料
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3.メンテナンス
⇒ 建物・備品 快適さの追求・衛生管理・
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4.オーナーの判断力・経営能力 |
1)三ちゃん経営・世襲制
⇒ 二代目が育たない
2)ワンマン経営
⇒ 独断的・改善意欲マヒ
3)どんぶり勘定
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5.集客力 |
1)一般旅行業者との位置づけ
@ 協定の見直し
A 共同企画・キャンペーン
2)インターネット旅行業者の連携
3)自社インターネットサイト・直販体制の確立
一般消費者ニーズ・ニューツーリズムなどトレンドの
把握・対応不足
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U ネットワーク(連合会)の結成 |
1.同業者との連携・様々な業種企業との提携 |
1)共同仕入れ
2)共同販売促進
3)共同・相互福利厚生
4)共同クラウドサーバーIT利用
IT化が出来ない「おもてなしの心」との限界を探る
5)共同就職説明会開催
6)経営・接客・旅館経営全般研修会・講座・勉強会
7)部門別マニュアル作成
8)自治体との連携 就職したくなるインフラ整備
住みやすい街作り(税制・教育・医療・住居等)
9)その他
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2.結成の規模・基準 |
詳細は追って検討 |
V.人材確保・就職しやすい環境作り |
1.インターシップ
⇒ 大学・専門学校との単位取得連携
2.60歳以上の高齢者
3.シングルマザー・子離れ女性層
1)保育所の確保
2)正社員化 ⇒ 安定雇用
4.外国人ワーキングホリデイ制度の活用
労働力と共に外国人客にも対応を考える
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W 就活までの指針 |
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旅館業の就活 |
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就職説明会のブースを見た事ない
・ハローワーク等から地元採用
⇒ 高校生に可能性がある。
・同業者からの引き抜き
⇒ 育てる余裕がない
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就職説明会のブースを見た事ない
・ハローワーク等から地元採用
⇒ 高校生に可能性がある。
・同業者からの引き抜き
⇒ 育てる余裕がない
◎旅館業の将来の為の具体策は?
◎旅館業の構造改革に未来像を探る
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◇ アバレル・百貨店業界との比較 ↓
中国生産にユニクロ参入時に、構造改革をした企業
が残った。
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久津 清二さんの検証 |
◎ ファッション小売の世界に置き換えると百貨店が同じような
位置づけにあった。
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・百貨店は戦前からの信用をベースに定価販売、接客によるサ
ービス提供などで他の小売に対し優位性を持っていた。
・老舗百貨店では外商が強く固定優良顧客に社員を張り付かせ
て客の消費窓口となって売り上げを稼ぐなど圧倒的なサービ
スで優位性を保っていた
・(効率化の時代」にあっては価格帯のすみわけがあり)
高級化、ブランド化政策によりその地位は保持した
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■ 百貨店・流通業界の歴史 |
◇ 1900〜1930
近代化の時代 |
1904年 三越百貨店オープン
1929年 阪急百貨店オープン
1945年 終戦
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◇ 1960〜1970
戦中・戦後の空白期間と復興期〜効率化の時代 |
・1963年 ダイエー1号店オープン
・1960年代からのスーパーの台頭
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◇ 1970〜1980
多様化の時代 |
・大型専門店の出現(カテゴリーキラー)による市場の流動化
の影響がおこる
・アオキ、青山商事といった紳士服チェーンによるベーシック
商品の大量販売
1971年 マクドナルド1号店オープン
1972年 ダイエー売上高トップに
1974年 セブン・イレブン1号店オープン
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◇ 1980年代から
無印良品、ユニクロなどの日用品SPAの出現 |
1984年 ユニクロ1号店オープン
1989年 大店法緩和
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◇ 1990年代から
GAP,ZARAなどの海外ファーストファッションの低価格
好感度商品の普及
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1994年 価格破壊本格化
1998年 GMS、百貨店が相次ぎ倒産
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◇ 2000年代
激動期 |
2000年 セブン・イレブン売上高トップに
2004年 東急百貨店跡地にCOREDO日本橋オープン
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・百貨店は構造的にリスクを取らずにメーカーから仕入れをして販
売をしており、しかも販売員を派遣させるなどコストをメーカー
に負担させ 高い人件費を販売価格に乗せていたために高コスト
構造が定着していた。
↓
・必然的に高価格となる
それを可能にしたのが差別化された品揃え、仕入調達能力にあっ
たがニーズの多様化、生産の多様化などの変化の中で優位性を失
っていった。
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■ 百貨店の優位性の消滅
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優位性 |
変化 |
店の信用 |
イメージの陳腐化 古い流通 |
優良固定顧客 |
老齢化 若年層の百貨店、外商離れ |
有力メーカーからの仕入力 |
SPAの直接仕入れ、海外生産の進展、メーカーの直販の拡大により減退 |
商品力 |
「安くて良いもの」に対抗する「高くてもさらに良いもの」を提供できない コストパフオーマンスで劣る |
接客力 |
漠然とした丁寧さはあるがマニュアルとして確立されたものはない |
レジャーランド機能としての百貨店 |
過去のレジャーセンターとしての百貨店の消滅。ハレの場でなくなった |
ギフトに強い |
中元、歳暮の減少 社会習慣の変化 |
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■ 考えられる今後の方向性
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複合化 |
スーパーと百貨店の中間小型店の展開・宅配ビジネスなど |
高級化 |
多ルートにはない高級品の品揃え |
店のブランドの活用拡大 |
自社ブランド商品の開発 |
シニア層の取り込み |
主要顧客であるシニアの囲い込み |
若い女性の取り込み |
婦人衣料ではまだ強さがある |
安心安全 |
多様な販売ルートにはない百貨店としての安心感 |
外国人客の獲得 |
アジア系の強化
店によってはかなりのシェアを占めている |
イベント化 催事の強化 |
入学卒業など記念日型消費、ギフト需要はまだ強い |
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旅館に行くことと百貨店に行くことは昔の家族にとって一大イ
ベントでした。
今さまざまな選択肢があるなかでその地位は変化しています。
行きたい場所から行かなくても良い場所に変わっていってしまった。
既存客の高齢化、減少に悩んでいます。
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◎ 百貨店業界とリゾートホテル・旅館業界衰退の類似点 |
・特にコストパフォーマンスの問題
高い価格に見合ったサービス、商品があるのかということです。
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◎ 上記で共通点になりそうなのは |
@ 旅館のブランドの活用と多展開 :
以前老舗旅館のタオルをブランドとして売ろうとしたこと
があります。
(ホテル仕様のタオルと同じ)
A 外国人の獲得 :
これはすでにやっていることですがもっといろいろなアプ
ローチがありそうです
B 複合化 チェーン化 :
一つの企業が大規模化するのではなく各地域での特徴をも
った旅館の結合。
多様な組み合わせが考えられます
C 和の表現 : 日本的であることの良さのアピール
衣料品などではメイドインジャパンプロジェクトが盛んです。
和のおもてなしというのは受ける側がマナーを求められて
いるようで結構緊張するものです。
外人にはそれが面白く思うのでしょうが日本の若い人に
は面倒なのでしょう。
そうした和のおもてなしのことを教えてその良さに気付
かせていく
あるいはもっと気楽に簡素化してあげるかして面倒くさ
さを取り除いてあげる必要があるのではないかと思います。
消費者としてみたら観光ではホテルが多いですね。
車で移動するので時間に縛られないのが一番です。
あえて旅館を選ぶとしたら建物や施設の雰囲気と料理ですかね。
接客サービスはその雰囲気を作るもので求めていくものではない
ような気がします。
昔の作家のように閑静な旅館で夏を過ごすなど憧れではありま
すが。
久津 清二
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◇ レストラン業界の事例
↓
感動レストラン
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勉強会風景 |
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本日の参加者全員で記念撮影
左から初参加半田さん、長坂、久津さん、久しぶり参加井上さん、松井さん
宮林さん、木村君、上松さん、田さん、根岸君、樋口さん |